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【降臨賞】空から降ってくる幼馴染みと結婚するようなベタな展開

あどけないはなし

もうすぐ産まれそうという連絡を受け病院へ向かう間、昔の事を少し思い出していた。
いつも彼女は「東京には空がない」と言いながら降ってきた。降ってきたというか塀から飛び降りていただけだったのだが。「女の子っていうのは空から降ってくるものなんです」といたずらっぽく笑う。なら少しは女の子っぽくすればいいのにと思っていたが、彼女の降り方は女の子っぽさからはどんどん離れていった。部屋の窓から、家の屋根から……
「東京タワーから降ったんだ」
中学の卒業式の日に彼女は交通事故にあっていた。彼女が急に飛び出したらしいが、彼女の証言は一貫して「東京タワーから降った」というものだった。
見舞いに行った時に「いつまでが女の子なのかわからないし、中学生のうちにと思って」と微笑む彼女の顔からいたずらっぽさは消えていた。それ以降、彼女が「東京には空がない」と言うこともなくなった。そして10数年後というか数年前、私は空から降っていたような幼馴染みと結婚した。
病室に入ると妻が「やっぱり東京には空がなかったみたい」といたずらっぽく笑う。私は窓の東京スカイツリーを見て少し恐い想像をした。妻の横にはかわいい女の子が眠っていた。